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本編を書かない予告シリーズ

 

 



コックが出て行ったのは、全て俺のせいだと解かっているが

どうしようもなかった。






「俺は男だぞ」
「てめェの何処見てもレディーじゃねーよ」

紫煙をめぐらしそう呟いたサンジは、シンクに凭れて自棄の様にその目を伏せた。

--- てめェが好きだ

突然の告白に驚いたゾロが驚いて酒瓶を落しそうになったのは仕方がない事。しかし、それでは収まらないのがゾロの気持ちだ。

普段は馬鹿のように女に媚び諂うコックが無性に気に入らない。
自分と対極にいる男の言葉が、自分をからかっているのだと瞬時ゾロは考えた。

コックは、どんなに悪ふざけをしようと人の気持ちを気遣い傷付ける事はなかった。なのに、これだどうだ!

ゾロの視界が赤く染まる。

「何かの罰ゲームか?クソコック」
「イヤ、そうじゃねー」
「なら何で---」
「別に受け入れて欲しくて言った訳じゃねーから気にするな」
「あ?」

そう言うとコックは遣り残した仕事をする為にシンクへと体を向ける。





それ以来ゾロは、サンジをまるで『腐敗臭漂う不浄』を見る目で対した。
男に告白されても気分の好い物じゃない。逆に今まで対等に張り合う男が『男を受け入れる側』と解かってイライラする。
変わってしまったコックに掛ける言葉など在りはしない。見られるのすら全神経がそちらへと向かう様は滑稽な程有り得ない状態だ。



『てめェの作った飯の中に何かヤバイ薬が入ってんじゃねーのか?』



夕食後、酒を取りに行った時掛けた言葉に仕込み作業をしていた男の肩がヒクリと動く。
小さく振るえる肩は、何を言いたいのかゾロには解からない。

「俺は仕事に私情は挟まない」

怒りで擦れた声にその心は何処に在るのかゾロは理解し様とは思わなかった。





(UP 2006/06/17)

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