忍者ブログ
過去のweb拍手作品収納場所
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。





小さな身体を背中から抱きしめ膝の上に乗せたロイは、金糸の前髪に手を差し込み自分の胸へと頭を引き寄せる。

 


2人で見上げる空には、赤く燃え上がる流星群。

 

手は尽くした。


しかし、人類の英知など広い宇宙(ソラ)の脅威から見れば、蚊にさされた程度以下の力しかない。
人類が生き残る為の選択と言えば、もはやこの星からの脱出しか無い。限られた人数分の椅子を奪い合い船に乗り込んだ者達は、皆未だ見ぬ星へと移り住めるのだろうか?

「大佐…アンタは船に乗ってソラへ行けよ。アンタは『資格保有者』だろう?」
「そう言う君こそ『資格保有者』ではないのか?」

宇宙連合とこの星を統括していた政府は、人類全ての中からこれから人間が生き残る為に必要な知識と体力を兼ね備えた『優勢遺伝子』を持つものをリストアップし、その者を優先的に船へと乗せた。
しかし、エドワードは辞退し、今これから焼き尽くさんばかりの高熱に曝されるこの星に留まる事を決めたのだ。

「アンタは…、連合軍の大佐でもあるんだ。ちゃんと船に乗って仕事しろよ…」
「君のいないソラへ出て何の価値がある?」

擦り寄る様に頭を寄せたエドワードは、ゆっくり瞼を閉じる。

「生きろよ…俺の分まで」
「生きるよ…君の傍でこの空が落ちるその日まで」


 

 

脱稿(2006/05/31)

PR
COMMENT
NAME
TITLE
MAIL
URL
COMMENT
PASSWORD :
───────────
コメント編集時に使用
 
TRACKBACK
TRACKBACK URL > 
PREV       NEXT
11 10 8 7 6 5 4 3 2 1
最新CM
バーコード
ブログ内検索
忍者ブログ [PR]
"南玲奈" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP
SAMURAI FACTORY INC.