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 余りにも『高い空』だったから……。

 

 

 余りにも『蒼』が綺麗だったから……。

 

 

 

 俺は…、司令部の屋上で気分転換にと引っくり返って空を眺めて居たら、『今なら空だって飛べる』気分になって来た。

 

 現実問題『無理』に決まっているけど、そんな気分にさせる空。

 

 俺は起き上がり、司令部の屋上の淵ギリギリまで歩いた。下は目も眩むような高さだが、落下する事など微塵も思い浮かばない。

 

 

――― 飛べたら何処へ行こう?

――― 太陽に受け入れてもらえるかな?

――― アルを置いて行っちゃうな。

――― 落ちたら……アイツは何て言うだろう?1週間前みたいに『馬鹿を馬鹿と言って悪いか!だから『鋼の』は子供だと言っている!! 』って言うのか?

 

 

 どうせ…俺は、子供だ。我が侭で、かわいげの無い……あんたには不釣合いな子供だ。

 

 

 強い風が俺の背後から後押ししてくれる。

 

 早く飛べ!

 

 遠くに飛べ!

 

 と……。

 

 

 

 翼の変わりに両腕を広げる……目を瞑り……足に力を入れる。

 

 

 

 

 『Take off』

 

 

 

 

 ……俺の身体は、飛び立つ事無く強い力で引き戻され屋上の床に転がった。

「エドワード!何を考えている!! 死ぬ気かっ。」

 目を開ければ蒼い空を背負った大佐の顔が飛び込んでくる。怒り…悲しみ…寂しさ…入り混じった顔だった。

「マジ…今なら飛べる様な気がしたんだ。」
「人間が飛べる訳無いだろう!」

 大佐が俺に覆い被さりゆっくり力を込めて抱き締めてきた。

「……すまなかった。言い過ぎた。……だから、許して欲しい。私の前から消えないでくれ。」
「だから……飛べる気がしただけで……死ぬ気なんて無いんだよ。」
「すまなかった……本当に……すまなかった。」

 壊れた蓄音機の様に同じ音を出す大佐に抱き締められ……俺達の喧嘩は終わった。

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