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『進め!!東方戦隊アーミーファイブ。』
東方司令室に集う若き軍人(Army)5人は、日頃は軍の職務を全うしている。しかし、真の姿は『無能軍人』ロイ・マスタングから東方司令部の秩序を守る為、影で活躍を余儀なくされている。 これは、そんな『苦労人』の話である。
主題歌 ♪『無能がなんだ!頑張れアーミーファイブ!!』
(メロディーは適当に) 仕事しろ サボるなよ
まっすぐ書類を見詰めてくれよ 金髪金瞳 万年発情 操を守る 5つの力 定時終りの向こうには ささやかな幸福があるはずさ (WAOO!) アーミー・ソルジャー! もっと厳しく! 予測無能の 大佐を越えて アーミー・ソルジャー! もっと強く! 気合いを入れて 今!躾をする 守れ! 東方戦隊アーミーファイブ CM…
『男なら筋肉!見よ、我輩の肉体美を!!君もこれを飲んで我輩の様になろう。
♪【マッスルプロテイン】』 『Size 12 軍のシャンプー』
ここは『東方司令室』。 久しぶりに顔を出したエドワードとアルフォンスは、お世辞にも綺麗とは言い難かった。 ホークアイは、エドワードをシャワー室に案内し、ブレダとファルマンはアルフォンスの汚れを拭き取ってあげた。 「アル。どうやったらそれほど泥まみれになるんだ?」 煙草をくわえながら毛布を抱えるハボックは、オイルを塗り始めているアルフォンスに理由を尋ねた。 「アハハ…実は、さっきの雨で大きな水溜まりが出来ていて、その横を歩いていたら車が来て……」 「掛けられちゃったんですか?」 ヒュリーが心配げにアルフォンスを見詰めた。 「僕は、中まで水が入らなかったから大丈夫です。でも、兄さんはずぶ濡れで…」 「正に『濡れネズミ』だなぁ。」 ハボックが笑いながらアルフォンスの言葉を引き継いだ。 「悪かったな!ネズミサイズしか無くて!!」 司令室の扉の前には、シャワーを浴び終わったエドワードがハボックを睨め付けていた。 CM…
『これ1本で1箱分!吸ったら貴方もあちらの世界にトリップ・トリップ!!ハボックも愛用【ドクロマークのニコチンDeダイ】』
(本編は中略…)
エドワードが髪の毛を一房取り、クンクンと香りを確認していると、自分の足が床から離れた事に気付いた。
「シャンプーは、私が鋼の為に代えておいたのだよ!」 エドワードを抱えながら走る声の主は、尋常では無いスピードで廊下を駆け抜けて行く。 「テメー!放せよっ!!---っていうか、俺を何処に連れて行くつもりだ!」 「むろん『執務室』に鍵を掛け、鋼の髪の毛を堪能した後、身体を……。」 「---誰かっ。誰かこの『万年発情エロイ大佐』を止めてくれー!!」 「皆、変身よ!!」
「「「「OK!」」」」 「「「「「Change Special Army」」」」」 司令室に勤務する若き彼らは、耐火防護服に身を包み『無能怪人・マスタング』を撃退する為、消火栓にホースを繋ぎ『リーダー』の指示を待った! ファルマン「レッド!スタンバイ出来ました。」 リザ「ありがとう、グリーン。みんな行くわよ!!」 「「「「「Water Crash!!」」」」」
ホースから噴き出した水は、『万年発情怪人・マスタング』をエドワードごと廊下の壁に打ち飛ばした。
リザ「ブルー!大佐を回収して!!」 ハボック「……ヘーイ。」 リザ「ピンク…エドワード君は生きているかしら?」 フュリー「……さぁ~?」 リザ「イエロー。人を呼んで後片付けを!」 ブレダ「………うっす。」 リザ「これで『一件落着』!!」
「「「「……何か違う。」」」」
エンディングテーマ
♪『無能!最強!…涙』
(メロディーは適当に。) 君は知っているかい?
東方司令部に『最強軍人』が居ることを! 犬の躾も狗の躾も銃一つで片付ける! 君は知っているかい? その上官の『伝説』を! 雨の降る日は湿ったマッチになるだ! あー、今日も西の空にオレンジの光が あー、今日も机の上には最強軍人が置いて行った書類の山が 司令部に秩序が戻る度 俺達のデートはキャンセルだ 一番欲しいのは 俺達の平和な日常だ 今日も残業 アーミーファイブ CM… 『「薄くて丈夫。夜のお供はこれに限る!これで楽しい夜をエドワードと……」 ---ボコッ!!
「誰がテメーの相手なんてするかぁ~!」
【大総統紋章印のコン●~ム!】』
…(T-T)。
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訪れた執務室には、書類の山に埋もれ尚もそれを現実逃避するかの如く机にうつ伏して眠る大人の姿。
エドワードは小さな溜め息の後、それなりに気を使い扉を静かに閉めた。
ツカツカと歩み寄り、手にしていた報告書を積み重ねられた書類の一番上へと置く。余程疲れているのか、普段なら人の気配で直ぐに目を覚ます男は、尚も規則正しい寝息をし続けていた。
――― どーしろっていうんだよ?
このまま寝ている上官を無視して目的の為次の行動に移すのも有りなのだが、それはそれで次にあった時『嫌味』は更に倍となってエドワードを襲う事は必至で有る。
――― 起こす……とそれは又それで五月蝿いし……。
左手で頭を掻き、視線を巡回させる。
目に付いたのは、普段通勤事羽織っているのだろう黒のコート。取り合えずハンガーに掛かったそれを手に取り、ロイの後ろへ回り込むとそっとその背に掛けた。普段はいけ好かない上官のロイを、エドワードはじっと見詰める。
先程到着したエドワードはまだ昼食を取っていなかった為、軍の食堂へと足を運んだ。その時、女性軍人達が嬉々として卓上に広げていた写真。
それは『ロイ=マスタング』の写真であった。
こんなにもいけ好かない上官が、何故女性にモテルのか?エドワードには皆目検討もつかない。
去って行った『アイツ』を待ち続けた母親の心を見て来ただけに、この男が持つ『恋心』はそれと反比例な関係で嫌悪感すら感じる。
女性軍人達の見ている写真からは、普段の嫌味な側面は見られず、女性受けするその笑顔を惜しみもなく向けていた。
――― あんな写真持ってても意味無いじゃん。
そんなにも想っているのなら直接言えば良いとエドワードは思う。
解からない女性の心。
解からない大人達……。
カラー写真だけであそこまで浮かれる事が出来る人達を、エドワードは少し哀れに感じていた。
中には募る恋心を持て余し、泣いている人も居るだろう。
――― 好きなら好きって直接言えば、この誑しなら食事の一つも誘ってくれるだろう?
心の中での会話に、誰かが答えてくれる訳ではなく、かと言って誰かに答えて欲しい訳じゃ無く、子供のような表情で眠る大人を静かに見詰め続けた。
「……何人の女達がアンタの写真見て泣いてるか想像しろよ、バーカ。」
疲れて眠るその顔をもう一度見詰め、エドワードは部屋を後にする。
ゆっくりと瞼を開けるロイ。
肩に掛けたコートに、エドワードの写真が入っている事をその時エドワードは知らなかった。