忍者ブログ
過去のweb拍手作品収納場所
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


 

 

 

 余りにも『高い空』だったから……。

 

 

 余りにも『蒼』が綺麗だったから……。

 

 

 

 俺は…、司令部の屋上で気分転換にと引っくり返って空を眺めて居たら、『今なら空だって飛べる』気分になって来た。

 

 現実問題『無理』に決まっているけど、そんな気分にさせる空。

 

 俺は起き上がり、司令部の屋上の淵ギリギリまで歩いた。下は目も眩むような高さだが、落下する事など微塵も思い浮かばない。

 

 

――― 飛べたら何処へ行こう?

――― 太陽に受け入れてもらえるかな?

――― アルを置いて行っちゃうな。

――― 落ちたら……アイツは何て言うだろう?1週間前みたいに『馬鹿を馬鹿と言って悪いか!だから『鋼の』は子供だと言っている!! 』って言うのか?

 

 

 どうせ…俺は、子供だ。我が侭で、かわいげの無い……あんたには不釣合いな子供だ。

 

 

 強い風が俺の背後から後押ししてくれる。

 

 早く飛べ!

 

 遠くに飛べ!

 

 と……。

 

 

 

 翼の変わりに両腕を広げる……目を瞑り……足に力を入れる。

 

 

 

 

 『Take off』

 

 

 

 

 ……俺の身体は、飛び立つ事無く強い力で引き戻され屋上の床に転がった。

「エドワード!何を考えている!! 死ぬ気かっ。」

 目を開ければ蒼い空を背負った大佐の顔が飛び込んでくる。怒り…悲しみ…寂しさ…入り混じった顔だった。

「マジ…今なら飛べる様な気がしたんだ。」
「人間が飛べる訳無いだろう!」

 大佐が俺に覆い被さりゆっくり力を込めて抱き締めてきた。

「……すまなかった。言い過ぎた。……だから、許して欲しい。私の前から消えないでくれ。」
「だから……飛べる気がしただけで……死ぬ気なんて無いんだよ。」
「すまなかった……本当に……すまなかった。」

 壊れた蓄音機の様に同じ音を出す大佐に抱き締められ……俺達の喧嘩は終わった。

PR

お題でGO! 『遠足?』

 

 


「兄さん!」

 夕食の用意をしていたエドワードは、アルフォンスの声に振り替える。

「アル、どうしたんだ?」
「今日、学校からプリントが配布されて来たんだ。」

 エドワードはアルフォンスからプリントを受け取り、その内容に目を通した。

 

――― 中等部三学年の『合宿遠足について。』


 毎年恒例の『合宿』について……云々
 ……どんな状況下においても『生きる力』を育てる為……云々
 ……下記の様に決まりましたのでご連絡致します。
 記
  場所:FUJI ‐Mountains 樹海
  活動内容:グループごと、地図と磁石のみを頼りに決められたポイントを通過しながら150km先の目的地に移動する。

 


「尚、樹海は磁場が強力な為、磁石が効かないと思われます。念の為、保険に加入される事をお勧めします………だーっ!ナンなんだこの行事はーーーっ!!」
「ナンなんだろうね。それより、シチュー焦げちゃうよ?」

 

 


 学園St.フラメル……謎多き学園だ。

 

 

 

お題元:とにかく笑いに走りたい五つのお題より 
*まず無いだろう学校行事編*
 『二、磁場の狂った樹海で遠足』

お題でGO!
『音楽会』





 

 

「兄さん。今度、全学部合同の音楽会が開催されるんだって。知ってた?」
「いや?初耳。」

 昼休み、カフェテラスで昼食後の珈琲を飲む兄弟(?)エドワードとアルフォンスは、今度開催される『音楽会』の話しをしていた。

「全学部って言ったら、幼等部から大院迄って事か?」
「そうみたいだね。」
「クラス数だけでも凄い数になるよなぁ。」
「うん。撲達は始めてだから想像つかないよね。」
「……クラスメートは何て言ってるんだ?」
「それが……皆その質問をすると逃げてっちゃうんだよ。」
「逃げる?」

 エドワードが文献に置いて居た視線をアルフォンスに向ければ、困ったような顔をしている。『イジメ?』とも思ったが、アルフォンスの様に人当りの良い弟がクラスメイトから疎外されているとは考えにくい。

「どうして逃げるんだ?」

 エドワードが放った疑問の呟きは、真後ろに居た学園の理事長が答えを与えてくれた。

「それは、この国の大総統の趣味が大きく反映されているからだよ。」

 ロイは、自分の珈琲を持ち、さりげなくエドワードの横に腰を掛ける。エドワードは、帰ってきた答えの意味が解からずその続きを目線で促した。

「この『音楽会』は、『演歌オンリーの音楽会』だ。」
「「はぁぁぁぁぁぁ?」」
「今年で『十四回』を数える。……頑張りたまえ。」
「誰がそんなモンに出るかぁー!」

エドワードの絶叫は、校舎中に響いて行った。

 

 

 

 



お題元:とにかく笑いに走りたい五つのお題より

 *まず無いだろう学校行事編*
 『一、演歌オンリーの音楽会』





小さな身体を背中から抱きしめ膝の上に乗せたロイは、金糸の前髪に手を差し込み自分の胸へと頭を引き寄せる。

 


2人で見上げる空には、赤く燃え上がる流星群。

 

手は尽くした。


しかし、人類の英知など広い宇宙(ソラ)の脅威から見れば、蚊にさされた程度以下の力しかない。
人類が生き残る為の選択と言えば、もはやこの星からの脱出しか無い。限られた人数分の椅子を奪い合い船に乗り込んだ者達は、皆未だ見ぬ星へと移り住めるのだろうか?

「大佐…アンタは船に乗ってソラへ行けよ。アンタは『資格保有者』だろう?」
「そう言う君こそ『資格保有者』ではないのか?」

宇宙連合とこの星を統括していた政府は、人類全ての中からこれから人間が生き残る為に必要な知識と体力を兼ね備えた『優勢遺伝子』を持つものをリストアップし、その者を優先的に船へと乗せた。
しかし、エドワードは辞退し、今これから焼き尽くさんばかりの高熱に曝されるこの星に留まる事を決めたのだ。

「アンタは…、連合軍の大佐でもあるんだ。ちゃんと船に乗って仕事しろよ…」
「君のいないソラへ出て何の価値がある?」

擦り寄る様に頭を寄せたエドワードは、ゆっくり瞼を閉じる。

「生きろよ…俺の分まで」
「生きるよ…君の傍でこの空が落ちるその日まで」


 

 

脱稿(2006/05/31)

 

 

 

 

「兄さん、これ見て。」

とある村で昼食を取っていたエドワードの向かいには、先程新聞売りの少年から購入したそれを読んでいるアルフォンスがいる。
熱心に記事を追っていたアルフォンスが、何か楽しげにその記事をエドワードの前へと差し出した。

「大佐だよ!凄いねー!!『事件早期解決!!』だって。」
「んー?」

フォークの動きを止め、口に物を含んだままエドワードは新聞を手に取る。
そこには遠巻きながらも東方司令部メンバーの姿を捉えた写真が付随されていた。

小さな人物描写ではあるが、久し振りに見るその男の顔は、何時ものにやけた顔とは違い鋭い眼差しの若き司令官が写されている。エドワードは何も言わず暫らくその写真を見詰め、肩を竦めると手荒にアルフォンスへとその新聞をつき返した。

「相変わらずど派手な事で、これで『焔の錬金術師殿』のFanも大勢増えるだろーな。」
「兄さん……素直じゃないんだから。」
「あ~ん?何か言ったか、弟??」
「……何にも言っていないよ。」

不機嫌に眉を潜め、再び食事へと意識を向けるエドワードに、アルフォンスは小さく肩を落とした。

 兄、エドワードは、大佐との関係をアルフォンスに隠している様だった。しかし、聡いアルフォンスに取ってはエドワードの判りやすい行動はそれを確信させるもので、今更隠す素振りをされてもと内心考えている。
だからと言って、「わーい!大佐!!」なんてキャラが違う事をされてもどう反応すれば良いのか判らない。ただ、素直に大佐の顔を見て心を落ち着かせてくれればと願ってしまうのだ。

「兄さん、今度何時イーストに入るの?僕、皆に会いたいなぁ。」
「ん?」
「写真見たら皆と会いたくなっちゃった。」

――― 兄さんも大佐に会いたいでしょ?

この言葉はアルフォンスの心の中に封じられる。
そんな事を口に出したら、意固地なまでの態度で決してイーストに近寄らないだろう兄を思っての行動。
無邪気なまでのアルフォンスの言葉をエドワードはどう捕らえたのか、咀嚼が終わるとアルフォンスに優しい眼差しを向け

「手掛かりも尽きたしな……一度報告書出しに行くか。」

と笑ってアルフォンスに言った。

 写真よりも―――――― その温かさに触れたいから。


 

 

PREV       NEXT
1 2 3 4 5
最新CM
バーコード
ブログ内検索
忍者ブログ [PR]
"南玲奈" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP
SAMURAI FACTORY INC.