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小賢しい年寄りのお小言を聞きに中央まで来たロイは、親友ヒューズと馴染みのビストロで夕食を取っていた。ビストロといっても言ってしまえば『居酒屋』。気取らず酒を飲みながらの夕食だ。
「おい!この頃『豆』と会っているのか?」
「……イキナリだなぁ。」
渋い顔で持って居たグラスの酒を煽って飲み干す。
「エドは…今、何処に居るかすら解からないよ。」
先程まで食べて居た殻の皿を見詰め静かに呟く。
「相変わらずヘビーな関係が続いているよなぁ。」
「それでも定期的に顔を出すようになっただけマシと言う物だ。」
空いたグラスと引き換えに琥珀色の酒が並々と入ったグラスがテーブルに置かれる。
「今、話題のラジオ番組を知っているか?」
「なんの事だ?」
「中央放送局で収録した番組を全国の放送局で放送しているんだが、まぁ~早い話し『恋愛メッセージ番組+音楽番組』だな。」
「それがどうしたと?」
「お前さんが『豆』宛にメッセージを送れば、どこかで『豆』が聴くんじゃないか?」
眉を潜めしばし呆れ顔のロイは、言葉無くヒューズを見詰めた。
「モノは試しだ!そのラジオ番組を聴いてみないか?」
「………。」
「マスター!ラジオ無いか?今の時間例の『アレ』放送しているだろう!」
勝手に盛り上がるヒューズを横目に、ロイはグラスの酒を急ピッチに煽る。
―――下手をすれば野宿生活の兄弟が、悠長に『恋愛メッセージ番組』を聴いているとは思えない。
そんな暇が有れば、文献の1つも読み漁るだろうとロイは思った。
店内には、先程ヒューズが話して居たラジオ番組が流れ始めた。
『―――続いてのメッセージは、ラジオネーム『鋼』さんから……』
席に戻って来たヒューズとグラスを口に付けたままのロイはお互いの顔を見合わせた。
『メッセージを送りたい人は『焔』って書いてあるね!メッセージは『必ず戻る。』とだけしか書いていないね。で、リクエスト曲は……』
「『豆』も俺と同じ事を考えたみたいだな。……おい。顔が赤いぞ!?」
「……酔っているだけだ!」
「普段酒が顔に出ないお前がか?」
「うるさい!!」
にやつくヒューズを無視し、リクエストされた曲に耳を傾ける。
―――答えなど何処にも無い
誰も教えてくれない
でも君を想うとこの胸は
何かを叫んでいる。それは真実。